秩父市のメインストリートで、手入れのゆき届いた格子戸を見せている商家造りの加藤近代美術館
は、もとは秩父銘仙の問屋であった柿原商店が残した家である。
柿原商店は、大正から昭和にかけての業界で知らぬ人なしといわれた銘仙の織物問屋であったが、
戦争と共に斜陽の波に押され、戦後ついに没落した。没落後も、建物だけは三十年間も地元の織物協
同組合の手で管理されてきたが、しかし、その維持管理も難しくなり、とうとう秩父市に売却を委託
することになった。そんな折に美術館計画を立てて手を打ったのが、政治家の加藤卓二さんである。